劇場や映画館、ホテル、病院、百貨店、飲食店、地下街、共同住宅などは火災や地震などの災害や、建物の老朽化による外壁の落下などが起こると大きな被害が発生する恐れがあります。
このような危険をさけるため、建築基準法第12条により、特定行政庁が指定する建築物及び建築設備や昇降機等について、その所有者(管理者)は、定期的
に専門の技術者に調査・検査を行わせその結果を報告することが義務づけられています。
定期報告とは、人が病気等の予防のために定期的に健康診断を受けるのと同じように、建築物も定期調査・検査が必要です。<建築基準法第12条>
平成26年6月に建築基準法の一部が改正され、平成28年6月から定期報告制度の対象となる建築物等が追加されました。
また,新たに『防火設備(随時閉鎖式の防火戸等)』及び『小荷物専用昇降機』の定期報告が新設されました。
排煙設備とは、火災時に発生する有毒な煙や熱を排出して避難経路を確保するための設備をいいます。排煙設備には、機械排煙設備と自然排煙設備の2種類があります。機械排煙設備では、防煙区画、排煙口の開閉、手動開放装置、排煙機の運転状況を検査します。自然排煙設備では、防煙区画、排煙窓、手動開放装置を検査します。 |
換気設備とは、室内の空気を新鮮に保ち、ガス器具の燃焼のための酸素を供給する設備のことをいいます。たとえば、換気扇の油汚れなどがひどくなると換気量が不足し、ガス器具が不完全燃焼を起こします。これによって一酸化炭素が発生し、一酸化炭素中毒のような悪影響を及ぼすのです。換気設備の点検では、換気扇やレンジフードの作動や換気扇の風量、運転状態などを検査します。 |
非常用照明装置とは、火災や地震などによって停電した場合に避難を安全に行なうための照明装置です。これによって停電時にも必要な明るさが確保され、スムーズな非難ができるのです。照度計によって規定の明るさがあるか測定したり、非常用電源の性能や外観の検査などを行ないます。 |
対象用途 | 対象用途の位置・規模※2(いずれかに該当) |
劇場、映画館、演芸場 | ① 3階以上の階にあるもの ② 客席の床面積が200㎡以上のもの ③ 主階が1階にないもの ④ 地階にあるもの |
観覧場(屋外観覧場を除く)、公会堂、集会場 | ① 3階以上の階にあるもの ② 客席の床面積が200㎡以上のもの ③ 地階にあるもの |
病院※3、有床診療所※3、旅館、ホテル、 就寝用福祉施設 |
① 3階以上の階にあるもの ② 2階の床面積が300㎡以上のもの ③ 地階にあるもの |
体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、 スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 (※いずれも学校に付属するものを除く) |
① 3階以上の階にあるもの ② 床面積が2,000㎡以上のもの |
百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェ ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、 公衆浴場、待合、料理店、飲食店、 物品販売業を営む店舗 |
① 3階以上の階にあるもの ② 2階の床面積が500㎡以上のもの ③ 床面積が3,000㎡以上のもの ④ 地階にあるもの |
※1:該当する用途部分が避難階のみにあるものは対象外。 ※2:該当する用途部分の床面積が、100㎡超のものに限る。 ※3:病院、有床診療所については、2階の部分に患者の収容施設があるものに限る。 |
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財団法人 福岡県建築住宅センター(定期報告制度:建築物・建築設備・防火設備・昇降機等) ・建築設備定期検査業務基準書 平成20年版 財団法人日本建築設備・昇降機センター TEL:03-3591-2426 ※購入等については直接上記までお問合せください。 |